1. シロアリとアリの違い
体形や生活がアリに似ているためシロアリという名がついていますが、シロアリはゴキブリの仲間で、アリはハチの仲間です。

- アリの触角は「く」の字をしていますが、シロアリの触角は数珠状になっています。
- アリの翅は前翅の方が後翅より大きいのに対し、シロアリの翅は前翅・後翅ともにほぼ同じ大きさをしています。
- アリは腰の部分がくびれていますが、シロアリは寸胴な体形をしています。
2. ヤマトシロアリ・イエシロアリの分布

日本には、22種類のシロアリが生息していますが、建物を加害するのはわずかで、代表的な種類として、日本全土的に生息するヤマトシロアリ、関東以南に生息するイエシロアリです。
そのほか、乾材シロアリの仲間であるアメリカカンザイシロアリやダイコクシロアリの被害も増えてきている傾向にあります。
3. シロアリの生態・種類
シロアリは社会性昆虫で、女王~働きアリなどの階級がありヤマトシロアリの場合、下図の通りとなります。

シロアリの種類
イエシロアリ

兵蟻:4~6.5mm程で頭部が卵型で威嚇すると乳白色の粘液を出す
職蟻:3~5mm程
有翅虫:7~9mm程(大部分は黄褐色)
多湿なところを好み、土中や建物内に塊状の巣を作ります。
6月~7月の雨が上がった日の夕方頃から光に向かって有翅虫が飛び出します。
ヤマトシロアリ

兵蟻・職蟻:3~6mm程で兵蟻の頭部は丸みのある長方形
有翅虫:5~7mm程(黒褐色で首回りが一部黄色い)
湿った材を好み、加害箇所の木材が巣となります。
4月~5月の雨上がりの晴れた日の日中に有翅虫が飛び出します。
アメリカカンザイシロアリ

兵蟻:8~11mm程でヤマトシロアリに似ているが体長が2倍ほど大きい
有翅虫:6~8mm程(黒褐色)
乾燥材を加害し、加害材の孔から砂粒状の糞を排出します。巣や蟻道は作らず加害箇所が巣を兼ね、小集団で複数の巣が存在することもあります。
主に6月~10月の日中に小規模に有翅虫が飛び出します。(条件が良ければその他の月でも飛び出します。)
4. シロアリの階級ごとのお仕事

女王・王
交尾・産卵により子孫を増やします。女王の腹部は産卵につれ肥大していき、イエシロアリでは体長40㎜に達することもあります。寿命は10~15年程で、一生の間に100万個以上の卵を産みます。
副女王・副王
女王や王の死や傷ついた場合に副女王・王が代わりに女王・王になります。
兵蟻
外敵からの防衛が役目で、巣の2~3%をしめます。
職蟻(働きアリ)
最も多い個体数で全体の90~95%をしめます。
巣や蟻道の構築や修理などをする他、餌の採取や他の階級の世話などをうけもっています。